【実施レポート】武蔵野大学高等学校「Liberal Arts Musashino」

武蔵野大学高校で、今年も前期の哲学対話が終了しました。この哲学対話は、高校1年生を対象にしたLAM(Liberal Arts Musashino)の講座の一つで、生徒が希望する講座を選び、10回にわたって受講します。40名程度の受講生は、中学から内部進学した生徒、高校から入学した生徒が混在しており、初対面の生徒も多くいます。

哲学対話の説明やPネーム作りからはじめて、アイスブレイクと質問する練習を兼ねた「質問ゲーム」を繰り返しました。回を重ねるに連れて、生徒同士に話しやすい関係が生まれ緊張がほぐれていったようでした。10人弱のグループでの哲学対話に挑戦すると、はじめは気恥ずかしさもあり、対話に向き合うことや自分自身を開示するのに時間がかかる生徒もいましたが、それぞれの発言に促されて、思考が深まったり、考えが変わったり、という場面も増えていきました。

「問い」は、生徒全員に考えてもらい、その中から投票して決定しますが、選ばれた問いには、「LINEの告白はアリかナシか」「学生時代に学んだことは社会に出たら活かされるのか」といった、高校生の日常に即した問いが多く見られました。対話を通してそれぞれの経験や考えを共有するうちに、気づかなかった視点を得たり、意味が無いと思っていたことにも前向きになれた、という声も聞かれました。

後半は、生徒たちだけでの哲学対話も試みました。大人のファシリテーターがいないことで、発言しやすくなった分、普段のおしゃべりのようになり対話が深まらない、また沈黙が長く続いてしまうといった感想がありました。それぞれが自分達の対話を続けようとする前向きな姿勢も見られました。講座は終了しましたが、この体験を思い出して、生徒のみなさんの生活にも対話が生まれるきっかけとなれば嬉しいです。(ライター:和佐)

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アーダコーダ事務局