株式会社LIXILにて、スペースプランニンググループの方々を対象に哲学対話を実施しました。在宅勤務が多く、コミュニケーションがオンラインやチャットのみで、お互いに何を考えているかわかりづらくなっているという状況が生まれているなかで、心理的な距離感が縮まることや、発想を広げたり思考の訓練をしたりできることを目的に実施しました。
開始前にネームシールにその日の「哲学ネーム」を書いていただきました。普段の自分の立場や関係性から離れて自由に考えられるようにするためです。最初に講師の盛岡から哲学対話についてのミニレクチャーを行ったあと、問い決めを行いました
こちらで用意した候補の問いの他に、みんなで一緒に考えてみたい問いをその場で出し合いました。20の候補のなかから投票で選ばれたのは、「成長(変化)ってしなきゃいけないの?」という問いです。
そこから全員で1つのサークルになり、アイスブレイクとして哲学ネームの由来や「最近心を動かされたこと」について1人ずつ話したあと、対話に入りました。まず、問いを出してくださった方にどうしてその問いについて考えてみたいと思ったかを共有していただくと、すぐに何人もの手があがり、活発に意見が交わされ始めました。
そんななか、
「成長と変化は何が違う?」
「成長の反対語は何?」
「成長するのは能力?意識?」
「成長って本当にポジティブなことなの?」
「人から求められる成長に違和感を感じるのはなぜ?」
「成長って何か決まった理想のものや状態になること?」
などその場で新たな問いかけがどんどん生まれました。
また、成長を人から求められることに対して違和感を感じる理由として、
「自分がその成長を望んでいないと強制されているように感じるから」
「できていないことを指摘されているように感じるから」
ではないかということも見えてきました。
活発に手をあげて発言される方もいれば、じっくり発言を受け止めて考えていらっしゃる様子の方もうかがえましたが、みなさんがお互いの話をしっかり受けとめて、発言が有機的につながっていったことがとても印象的でした。
最後に全員の感想をお聞きすると、それぞれの方がしっかり考えていらしたんだなということが伝わってきました。総じて、全員で一緒に問いについてじっくり考え、深く潜っていくような時間になったのではないかと思います。
ビジネスの現場においては効率や成果を求められることも多く、同じ部署で働いていてもお互いの考えをじっくり聞き合うことは普段なかなかできないかと思います。今回の哲学対話をきっかけに、じっくり聞き合い、問いあえる場を継続していただけたらと願っています。(ライター:大前)