
王子産業資材マネジメント株式会社にて、クリエイティブ本部の方々を対象に2日間の哲学対話研修を実施しました。この研修は「対話によってお互いの理解を深めること」、「深く思考する体験を通じて発想を広げること」、「相手の話を深く掘り下げて聞く力を高めること」を目的として企画されたものです。
研修の1日目は、レクチャーからスタート。「哲学対話とは何か?」、「企業での取り組み事例」、「哲学対話で何が育まれるのか?」、「対話を深める7つの質問」について解説を行いました。
レクチャーの途中でアイスブレイクの定番「質問ゲーム」を行いました。どのグループもなごやかな雰囲気で、グループ内で笑いが起きたり、「ああ確かに!」と質問されて自分の考えに気づいたりする様子が見受けられました。すでに哲学対話のように内容が深まっているグループもありました。
休憩をはさんだ後、2つのグループに分かれて哲学対話を体験しました。事前にリストアップした問い候補から投票を行った結果、Aグループでは「伝わるってなんだろう?」、Bグループでは「普通とはなにか?」という問いが選ばれました。
最初はまわりの様子をみながら参加している方も、みなさんが発言者の意見をしっかり受け止めて聴いていたり、積極的に問いかけがされていたりすることで、安心感につながったようで、時間が経つにつれてどんどん活発に意見や質問が出るようになりました。
2日目の研修は「質問ゲーム」からスタート。「深めること」を意識して質問してみるということに取り組みました。
その後「哲学対話のファシリテーターは何をしているのか?」、「対話を促進するための6つのスキル」、「構造的な聞き方と、質問のしかた」について解説しました。その後は哲学対話のファシリテーション体験。各グループ4名の方が、交代で実際にその場の哲学対話のファシリテーターを担当しました。1日目と同様に投票で問いを選んだ結果、Aグループでは「いいデザインってなんだろう?」、Bグループでは「やる気はどうして出たり出なかったりするの?」という問いが選ばれました。
1つの哲学対話の中でどんどんファシリテーターが変わっていくため、ファシリテーター役の方はその難しさに戸惑いを感じられているようでしたが、積極的に楽しみながら、新たな学びを得ようとされていました。参加者のみなさんは、他者の意見に対し「ああ」と思わず声が漏れてしまうほど、自分と異なる意見への驚きや発見を楽しんでいるようでした。レクチャー中も大きくうなずきながら聴いてくださっていて、1日目よりもさらに積極的に場に参加している姿が印象的でした。
終了後のアンケートでは、半分近くの方が「みんなが視線をこちらに向けてくれたり、うなずいていたり質問されたりすることで聞いてくれているんだと感じた」ということに言及されており、安心して発言し、聴き合う場が成立していたと思います。
哲学対話のファシリテーションは、その場にいる人々の経験、知恵、アイデアを集約するための重要なスキルであり、複数の人と円滑に仕事を進める上で、欠かせない土台となる力です。今回は限られた時間のなかでしたが、仕事につながるような学びを得ていただけたのではないかと思います。今回の研修をきっかけに、仕事の場面においてもじっくり聴き合い、問いあえる姿勢を継続していただけたらと願っています。
(ライター:大前)
