【開催レポート】金曜夜の哲学カフェ@Alternative Living展(3/21)

金曜夜の哲学カフェ。今期最後のテーマは「未来の暮らしで、私たちの身体感覚はどう変わる?」でした。参加者は25名で、半分くらいが初めてご参加の方々。リピート参加の方も交えて、多様な意見を聞き合う対話となりました。ファシリテーターは、大前が務めました。

前半は哲学者の河野哲也さんをゲストとしてお迎えし、「身体性とテクノロジー、環境」の関係についてお話を伺いました。アリを例えに心が同じでも身体の大きさが違うと行動が変わるという話や、今後はいろいろなことが機械なしにはできなくなっていき心が環境に拡張していくという話、わざと冗長に話したり自分では何もできなかったりする「弱いロボット」によって人間の行動が変わるというお話など、未来の私たちの身体感覚というテーマについて考える上で大変興味深い話題を提供いただきました。

後半は、ゲストも交えて全体での哲学対話。まず、今回のテーマやレクチャーの感想をぐるっと一周共有しました。「環境が機械によって自動で整えられていくとしたら、私たちの五感はどんどん鈍っていくんじゃないか」「道具を使うことで敏感になる感覚もあるのでは」など、現在私たちが感じている「感覚」がどうなっていくのかというところに関心が集まっていました。

その後、ゲストから問いかけられた「サイバー空間は自分の体の一部になるか?」について考えました。「コントローラーの振動などを通して、ゲームの中でもすでに自分の感覚として感じているのでサイバー空間であっても自分の身体と言っていいのではないか」「Vtuberの配信などを見ていると生身の人間の存在を感じるので、身体感覚を得ているのでは」「それって本当に“人”なの?」など様々な意見が出されました。

今回はこれまで以上に多くの方に参加いただき、お話を聞いている時間が長かった分、自分とは違う受け止め方や考え方に触れたり、様々な視点を通して考えることができるという大人数ならではの良さを体験できる機会だったのではないかと思います。目まぐるしく環境が変わっていくなかで、未来の暮らしはどうなっていくんだろうと、引き続き考えていきたいと思わされる貴重な時間でした。(ライター:大前)

この記事を書いた人

アーダコーダ事務局