2016年度第3回こども哲学入門講座 / こども哲学実践講座

こども哲学入門講座 / こども哲学実践講座

「こども哲学」を行うために必要なことについて実践を通して学ぶ講座です。こどもたちとじっくり対話し、ゆっくり考えることにご興味ある方、自分もやってみたいという方、ぜひご受講ください。

イベントの概要

● 日時:
2017年2月5日(日)
10:00~13:00 (予定):入門講座
14:00~18:00 (予定):実践講座 ※入門講座を既に受講された方のみ受講可能です。
18:00〜19:30 (予定):懇親会

● 対象:
「こども哲学」に関心のある方
こどもの主体性を引き出す対話の場づくりに関心のある方
「こども哲学」や哲学対話を取り入れた授業づくり・教育実践に興味のある教員・教育関係者の方
※「こども哲学」未経験の方も歓迎です。哲学の知識は不要です。

● 会場:新宿NPO協働推進センター 501号室
東京都新宿区高田馬場4-36-12
※電車:高田馬場駅下車徒歩15分
※バス:小滝橋下車徒歩4分
アクセスマップはこちら

●定員:20人程度

●参加費:1講座 5,000円。同日の「入門講座」「実践講座」通し受講 9,000円。
懇親会費:1,500円(軽食、飲み物代として)
※参加費は当日会場にて申し受けます。

●主催:NPO法人 こども哲学・おとな哲学 アーダコーダ

●申込み:
定員に達したため、お申し込みを締め切りさせていただきました。

講師

  • 堀越 睦堀越 睦

※ほか、小学校、中学校、高校などでこども哲学を実践してきたアーダコーダメンバーが当日サポートいたします。

プログラム (予定)

●入門講座
1. こども哲学ってなに?
2. やってみよう!哲学対話
2.1 問いをつくる
2.2 探究する
〜休憩〜
3. こども哲学のレシピ
4. 質疑応答
5. 参考文献紹介

●実践講座
1. ファシリテーターのためのヒント
2. やってみよう!ファシリテーション
〜休憩〜
3. 対話の振り返り
4. 質疑応答

レポート

【午前 こども哲学入門講座 参加者:26名  スタッフ:5名】
今年最初のこども哲学入門講座・実践講座が2017年2月5日に新宿NPO協働推進センターにて開催されました。アーダコーダからは講師を理事の堀越が務めたほか、スタッフとして井尻、三浦の両理事と講座修了生の幡野さん、そして私小川が進行のサポートを行いました。
10:00から13:00からの入門講座は、こども哲学の簡単な紹介映像を見ていただいたあと、参加者全員で輪になって、自己紹介をしながらコミュニティボールを作るところから始まりました。
1)今日呼ばれたい名前、2)好きな色、3)世界でいちばん好きなものを一人一人お話しいただきながら、筒に毛糸を巻いていきます。
簡単な質問に思えますが、結構参加者の個性が透けて見える場面もあり、また時々笑いが起こる場面もあり、和やかな雰囲気が毛糸が大きくなっていくにつれて生まれていったと思います。(個人的には世界でいちばん好きなものとして「飲み会」と言われた方がいて、最高だなと思いました。)
そのあと、堀越よりアーダコーダの大切にするこどもの哲学の理念と概要についてレクチャー。みなさん適宜メモをとりながら大変熱心に聞いてくださっていました。
そして実際に哲学対話の体験のセッションへ。
10人ほどの3つのグループになって、アーダコーダスタッフが進行役を務めました。
今回は、「仕事」「幸福」「こどもとおとな」の3つのテーマから一つを選び、問いをみなさんと立てるところから始め、白熱した対話がそれぞれのグループでなされました。
全体での質疑応答では「今、哲学をすることが必要だと考える理由やその背景は?」「対話の場で板書をすることのメリット・デメリットは?」「子ども哲学では多様性を尊重することが大事だと思うが、ルールから逸脱したり騒いでしまう子どもがいた場合どのように対処するか?」など、大変核心をついたご質問を多くいただきました。そこでのスタッフとのやりとりも含めてこども哲学のポイントへの理解がさらに深まったのではないでしょうか。
講座を終えてからも、スタッフへ熱心にご質問をいただく姿や、参加者の方々同士で感想をシェアしあうような姿がたくさん見受けられたのが印象的でした。

 
 

【午後 こども哲学実践講座 参加者:23名 スタッフ5名】
一時間の休憩を挟んで午後の実践講座では、入門講座を終えられたばかりのみなさんに、より実践的に、哲学対話を体験していただく時間を多くとりました。
まずは講師の堀越より、入門講座を踏まえて、ファシリテーターを自分がする、という視点でのスキルやヒントの紹介がありました。哲学対話を一参加者として楽しむことと、対話の場を開き、ルールを提示し、問いを参加者に投げかけ、適切に議論を促進し、最後に場を閉じるファシリテーターの役割は様々な難しさがあります。そのヒントとなるような要素として、いくつかの心構えや便利な質問、アイスブレイクの方法などがオリジナルのテキストをもとに紹介されていきました。
午後の体験セッションは、より少人数で、それぞれの参加者に短時間でもファシリテーターを体験していただくことに特徴があります。大人同士の対話の場でも、自分が一参加者だと思って思考するときと、ファシリテーターであることを意識して対話に向かうときでは、全く大変さが違うということが実感していただけたのではないでしょうか。その上で、経験豊富なスタッフ陣から実際の対話の場に対するファシリテーター目線でのふりかえりのコメントの時間がありました。そこでも参加者の方たちと質疑応答を繰り返すなかで、ファシリテーターの難しさのポイントや心構えがより実感していただけたと思います。
最後の質疑応答では、終了時間を少し過ぎてしまうほどたくさんの質問をいただきました。
「子どもが参加者としている場で親がファシリテーターをすることはできるか?」「哲学対話と話し合いを明確に分ける違いはあるか?」「対話の場では自分の出した問いではなく、他人の問いが選ばれることが多い。子どもたちに他人の問いを問うことができるのか?」など、どれも簡単には答えることのできないものばかりでしたが、その場での受講者の皆さんとのやりとりを通して、そこでも各自のなかで探求が始まっているような感覚も覚えました。
今回参加いただいた方々は、年齢、性別、職業など本当に様々な方々で、こども哲学という実践への関心の高まりを切に感じます。1日の講座ですぐにファシリテーターのスキルが完璧に身につく、といったことはもちろんありませんが、今回の機会が受講者のみなさんがこども哲学や哲学対話の場にこれからますます入っていっていただくための背中を押す機会になっていればと願っております。
私も、スタッフの一人として、途中の質問にもあったように「今あえて哲学をこどもたちとしようとする理由」といったことをこれからもしっかりと反省しながら、今回受講していただいた皆さんと一緒になって実践を少しずつ積み重ねていければと思っております。
受講者のみなさま、ありがとうございました。講師、スタッフのみなさん、お疲れさまでした。

  

(レポート:小川泰治)

この記事を書いた人

アーダコーダ事務局