1月31日、西新宿小学校にて、5年生2クラスを対象に哲学対話の授業を行いました。西新宿小学校では、通知表の廃止に踏み切るなど、子ども主体の学びを重視した先進的な教育実践が行われています。また、校内の“きまり“についても、大人が一方的に与えるのではなく、子どもたち自身が考え、話し合い、実践することを大切にしており、「自分で考え、共に決める」力を育むことが、学校全体の文化として根づいています。今回の哲学対話も、そうした姿勢と深く共鳴するかたちで実施されました。この日扱った問いは、「新しい教科や科目を増やせるとしたら何を増やす?」。子どもたちが日頃の学びを見つめ直しながら、自分たちにとって本当に必要な学びとは何かを探る時間となりました。
1組では、最初はやや緊張した様子も見られましたが、小グループでの話し合いをきっかけに、徐々に声が出始めました。「ファッションの授業があったらいい」「人間関係の勉強ができたら」といった意見に対して、「それは今ある教科とどう違うの?」「学校で学ぶ意味って何だろう?」といった問い返しが生まれ、対話が徐々に深まっていく様子が印象的でした。2組はエネルギッシュな雰囲気で、序盤から積極的な発言が相次ぎました。話が脱線しそうになる場面もありましたが、「どうしてそう思ったの?」「それって教科にできるのかな?」といったやりとりを通して方向が整い、「気持ちの整理を学ぶ授業」「失敗の仕方を学ぶ時間」など、ユニークで本質的なアイデアがいくつも生まれました。
授業後のふりかえりでは、「自分では思いつかなかった考えを知れた」「友だちの意見を聞いて、自分の考えが変わった」といった声が聞かれ、子どもたちにとって“考える“ことそのものが目的となる時間を楽しんでいたことが伝わってきました。正解のない問いに向き合い、他者と考えを交わす経験が、これからの学びをつくっていく力になることを感じさせる時間でした。
(ライター:つの)