【実施レポート】こども哲学教室ソフィー@オンライン

2024年最後のこども哲学教室ソフィーは拡大版と題し、「こども哲学」と「おとな哲学」2つのプログラムで実施しました。前半はこども哲学の時間から。

2024年の「てつがく納め」は原点回帰でシンプルな哲学対話です。

普段通りのソフィーを大切にして、まずは問いを出し合うところから始めました。日々生活する中で生まれるこどもたちの「?」は素朴でありながら多種多様です。今回選ばれたテーマは、『動物の定義ってなんだろう?』

対話の始まりは、問いを出してくれた子の「漢字では“動く物“って書くから、人間も動物なんじゃない?」という意見でした。私たちは動物という言葉を使うとき、つい犬や猫といったものをイメージしてしまう。でも人間も機械も“動く物“なのだから、動物という枠に入るんじゃない?鳥は?虫は?どこまでが動物なのかわからなくなったんだ…。

その子から問いの生まれた背景を聞いて他の子はうんうんと頷きます。間をおかずに他の子から意見が飛び出しました。

「心で思ったことを表に出せる“顔”があるのが動物だと思う。虫は表情がわからないから動物じゃない」
「脳みそがあって、自分で考えて動いているのが動物!」
「声あるかどうかじゃない?虫の鳴き声は羽を超すったものだから声じゃない」
「その考えだと、声がない魚は動物じゃないってこと?」終始ポンポンと意見が飛び交う、非常に活発な対話でした。

特に印象的だったのは子どもたちが他の参加者の発言内容にしっかり耳を傾けていたことです。
自分と違う考え方を受け止めること、違う考えに対して自分なりの疑問や反論を表現すること、その積み重ねによって発言同士が繋がり対話が深まっていきます。子どもたちがソフィーで対話を重ねてきた考える力や聞く力が如何なく発揮された回だったように思います。

後半はおとな哲学の時間。

ソフィーとして保護者向け開催するオンラインの場はこれが初めてでしたが、4組のご家庭がご参加くださいました。普段の講座では子どもたちの様子や当日の実施内容を終了後に講師からフィードバックしています。

とはいえ、それだけでは全てを伝えきれません。実際に子どもたちがソフィーでしていることを保護者の方々にも体験していただき、こども哲学への理解を深めていただくきっかけになれば…。そんな提案から、「大人も哲学対話を体験してみよう!」という今回の拡大版開催に至りました。

場のルールについても、子どもたちに伝えているのと同じ資料を用いて説明し、若干の緊張感とともに始まった対話でしたが、哲学対話を過去に経験している保護者の方も、初体験の方も、画面越しの真剣な表情や深く頷き共感する様子が印象的でした。

また、保護者の皆様と直接お話しできる貴重な機会ということで、座談会も行いました。
「お子さんをソフィーに通わせてみてどうですか?」と率直な感想を募集したところ、大変嬉しいお言葉を頂きましたのでいくつか紹介させてください。「子どもと話すとなると、学校や家庭では大人が上に立ちがち。ソフィーは子どもと大人(講師)が対等に同じレベルで話している」
「親からの考えの押し付け・大人が正しいといった前提がない中で話す・聞くができる場なのが良い」
「学校では自分の意見をしっかりいえる場が少なく、子どもは普段フラストレーションを抱えているので、ソフィーのように少人数で対話できる場は貴重」コロナ禍以降オンライン中心に移行してからも子ども対象の講座を継続できているのは、こうして保護者の皆様がこども哲学の必要性やソフィーの方針について深くご理解くださっているところによるものです。講師一同感謝申し上げます。
今回貴重な生の声を聞かせてくださった皆様、ご参加ありがとうございました。
今後とも子どもたちの哲学の時間をあたたかく見守っていただければ幸いです。

(ライター:浅野)

この記事を書いた人

アーダコーダ事務局