「同じ川に2回入ることってできる?」
今回のソフィーでは著者ピーター・ウォーリー「もし友だちがロボットだったら?ー哲学する教室のつくりかたー」から抜粋し、「同じ川に2回入ることってできる?」と子どもたちに問いかけから対話がスタートしました。
ん?どういう事?といったような表情をみせる子どもたち。
この問いを子どもたちが想像しやすいように作られたストーリーを読み聞かせます。
うんうんと頷き、わからなくなったら聞き直し、理解しようと前のめりになる子どもたち。中にはストーリーを絵にして描き出す子もいました。読み終えると「あー!そういうこと!?」と子どもたちの表情も変わり、問いの意図がわかったところで再び問いかけます。
意見は分かれ、どうしてそう思ったのかを互いに聞き合い、考え合います。
ファシリテーターはどちらが正しいといった姿勢はとらずに、子どもたちの主張をもとに新たな仮説を立てては問い直していきます。
難しい!と言いながらも諦めることはなく、同じ川に入れる入れないをゆらゆらと行ったり来たり。
同じ川には入れない、さっき入った川の水は流れていってしまったから。
同じ場所で遊ぼうよ!と言えばよかったのでは?
人の細胞は3年で入れ替わってるから、3年後は別の人になってる?
同じ人でも赤ちゃんの時と大人のときは同じと言える?
見た目と性格が変わったら同じ人といえない?
名前が変わっても同じといえる?
見る人によっては「違う」のでは?
同じ場所にある川でも濁った水と透き通った水と状態が変われば同じ川とは言えないかも?
人は記憶する。覚えている事ができるから「同じ」と言えるのでは?
記憶喪失になったら「同じ」と言えなくなる?
簡単に書き出しましたが、子どもたちは意見を言葉にしている最中もとても複雑に、ゆらゆらと揺らぎながら話していました。
そんな、考えては言葉にして、また考えてを繰り返してきた時間に終わりが近づいてきました。最後に再び問います。すると最初に「入れる」と言っていた子が「入れない」と意見がかわり、「入れない」と言っていた子は「条件付きだったら入れる!」と意見が変わっていました。
この問いは2500年前にヘラクレイトスが「万物は流転する」と考えたのをもとに作られ、それを思考の素材として用いて子どもたちと共に考えを深めていきました。
今日が一番難しかったと思う筆者でしたが、
今日が一番楽しかった!!!
と感想をいただきました。
私は今回のソフィーの時間を通し、子ども達の探求に向かう力の強さを再認識しました。「わからない」をわからないままにしない。他の人が話をしている時も、その意見から答えを見つけだそうと真剣に聞き考える。そんなソフィーっ子達の時間をこれからも大切に関わって行きたいと思います。
ソフィーでは自分で考えた事を言葉にして伝え、人の意見から更に考えを深めていく事を思いっきり楽しむ、そんな時間を毎月第1、第3土曜日に開催しております。(日程変更もありますので申し込み時にご確認ください)体験での参加も随時募集しております。お気軽にご相談下さい。(ライター:朝倉)