今回のこども哲学教室ソフィーは「偉いってどういうこと?」という問いについて、じっくり哲学対話をしました。はじめに講師から今日の題材である『タルムード※』を題材に1つのお話を聞かせてくれました。
※タルムード:ユダヤ教の人々が口伝えで伝承してきた議論をまとめたもの。
ユダヤの知恵の集大成ともいわれる。お話のあらすじを簡単にご紹介すると
・無事にやり遂げれば王様からたくさんご褒美がもらえるが、危険すぎて誰も挑戦しようとしない任務がある
・やっとの思いで手に入れた貴重な品物を王様に献上しようとしたその時、自分の「目、手、足、口」がケンカを始める
・ケンカの原因は「一番偉いものが一番多くのご褒美をもらえるとしたら、誰が一番偉いか。」
こども達からの提案で、まずは「誰が一番偉いか」の前提となる「偉い」とはどういうことかをよく考えてみることにしました。
哲学対話のなかで出てきた考えをいくつかご紹介させていただきます。
・「偉い」って赤ちゃんとかを大人が思い通りに動かすために使う言葉だと思う。
・「頑張って偉いね」って言うのは「頑張ったこと」「精一杯出来ることをやったこと」が偉いから、「その人が偉い」とは違う気がする。
・「偉い」って本当は無い(存在しない)ものなんじゃない?
・低学年の時は“えらいね~“って言われるとやる気が出てたけど、今はそうじゃない。なんか(「偉い」という言葉に対する自分の)感じ方が変わった。
・人をコントロールするために使う言葉な感じがするから「偉い」って言葉はなんか怖い。
・自然には「強い」はあるけど「偉い」は無いと思う。やっぱり「偉い」は人間が作り出したものなんじゃないかな。
などなど子ども達と関わる中で何気なく使いがちな「偉いね」という言葉。
ソフィーのみんなと考えれば考えるほど正体が分からなくなり、それぞれの体験談や具体的にその言葉が使われる場面を想像しながらみんなお互いに聞きあい、質問しあい、じっくりたっぷり考えました。
今回は「偉い」の正体を明らかにするとこまではたどり着けませんでしたが、ひとつの言葉(概念)について様々な方向からじっくり検討する充実した対話が出来たなと感じています。また、クラスの終わりには子ども達から次のような感想が出てきました。
・みんなが思ってる「偉い」のイメージをもっと聞いてみたい
・辞書でも「偉い」を調べてみる
・考え始めた時よりも、めっちゃモヤモヤしてる。もっと考えたい。
といった感想も聞かれ、思いっきり哲学することを楽しんでくれたのかなと感じられました。
また、幼稚園生の頃からソフィーに通ってくれているお子さんの変化を感じる場面もあり、成長の様子が垣間見えてとても嬉しかったです。
ご参加いただいたソフィーっ子の皆さん、楽しい哲学の時間を作ってくださった保護者の皆さん、ありがとうございました。(ライター:岩間)
こども哲学教室ソフィーは基本は毎月第1.3土曜日の10時からオンラインで開催しています。
お申し込みはアーダコーダのpeatixから可能です。
また、定期的に保護者の方向けの哲学対話も開催しています。
体験チケットもございますので、ご興味のある方はぜひお越しください!