【実施レポート】こども哲学教室ソフィー

8月8日(土)、オンラインにて「こども哲学教室ソフィー」を開催しました。

今回のテーマは「やさしい動物が絶滅したのは、人間が悪い?」

「ステラーカイギュウ」という18世紀に人間と出会ってわずか27年で絶滅した海の生き物のエピソードをきっかけに、「人間と生き物の関わり方」や「命の選択・価値」について深く問い直しました。

まず最初に「人間」「豚」「パンダ」を例に、私たちがふだん生き物とどのように関わっているかを話し合いました。

「食べる豚」と「愛でるパンダ」の違いはどこにあるのか?

人間同士は「平等」であるべきだが、戦争や経済(株価や利益)など現実の社会構造の中では平等に機能していないのではないか?

お腹を満たすためだけでなく、娯楽や美味しさを求めて生き物の命を奪うこと(食事を楽しむこと)は、他の動物とは違う人間独特の行為ではないか。

生きるためではなく娯楽や豊かさのために利用するなら、関わるべきではないかもしれない…?
といった問いが提示されました。

後半は、「優しすぎて絶滅したステラーカイギュウ」のエピソードを共有し、哲学対話をしました。
むかし遭難した船員が「生き延びるため」に狩ったことから始まり、やがてその存在が知れ渡ると、生活を豊かにするための油や燃料を求めて乱獲が始まりました。仲間が傷つくと助けに寄り添う習性を利用され、わずか27年で地球上から姿を消した生き物です。

対話の中では、次のような多角的な視点が交わされました。

生きるための狩りと、豊かさ・娯楽のための狩りの境目

人間が生態系を壊しておきながら、数が減ると「絶滅させてはいけない」と保護しようとする矛盾

動物園や養豚場の環境に対する問い(安全でご飯がもらえる環境は、生き物にとって幸せなのか?)

なぜ人間は、自分とは直接関係がなくても遠くの希少種を守りたいと思うのか?

自分の生活には関係ない場所にいる生き物の命を絶滅させず守りたいという話の中で、「人間に『感情移入する力』があるからではないか」という意見が出ました。
一方で、ゴキブリやネズミなどの身近な生き物に対する拒絶感や恐怖について話題が広がると、相手の動きの予測不能性だけでなく、人間側の「知識」「見た目」「衛生面のイメージ」が強く影響しているという気づきが共有されました。
「見た目が可愛いから守りたい」「害虫や害獣は身の危険を感じるから遠ざけたい」という感覚も、人間ならではの言葉や概念、感情から生まれているのではないかという深い考察へと繋がっていきました。

今回の90分間の対話では、「人間は動物とどう関わるべきか」という一つの答えを出すのではなく、子どもたちが自らの生活実感を言葉にしながら、思考を深めていくプロセスが印象的でした。

自分自身の食肉や娯楽への欲求を率直に見つめ直しつつ、「生きるための行動」と「欲求のための行動」のグラデーションに葛藤する姿が見られました。また、大人が問いを提示するだけでなく、子どもたちの発言から自然と新しい視点が生まれ、探究が深まっていきました。

(ライター:朝倉)