
2026年4月の「哲学プラクティスあれこれゆるゆるトーク」では、山本和則さんをお迎えし、「哲学対話とセーファースペース」をテーマにお話をうかがいました。
セーファースペースとは差別や抑圧、ハラスメントや暴力と言った問題を可能な限り減らすためのアイデアで「より安全な」空間をつくる試みのこと。「セ―ファー」という比較級の表現にはすべての人が「セーフだ」と感じることは難しいからといって、それをあきらめるのではなく、少しずつ改善をつづけて「セ―ファー」なものにしていこうという意図が込められています。
山本さんは、日本における哲学的対話は「誰でも参加できる」とうたう場も多い一方で、ハラスメントや差別的発言、その他の障害によって参加を阻まれている人も存在するのではないかと指摘します。そこで山本さんが参考にされたものがMAP UKという団体によってアカデミックな哲学の空間をセ―ファースペースにしていくためにつくられたセ―ファースペース・ポリシーです。これを参考に、会のなかでは哲学的対話の課題を、アクセシビリティの観点から物理的アクセス(誰もが障害なくアクセスできるだろうか?)、心理的アクセス(心理的に参加を妨げる要因はないだろうか?)、継続的アクセス(一度参加した人が今後も参加したいと思えるだろうか?)の3つに整理してお話いただきました。
これらはいずれも対話中のルールや進行の仕方にとどまらない問題です。山本さんご自身もこういった課題を意識されて、会場選定か告知の段階からアクセスの観点を意識されたり、当日にもご自身で作成したポリシーを説明したり掲示されたりといった試みをされているとのことで、ご視聴いただいたみなさんそれぞれの現場にも通じるヒントになったのではないかと思います。
トークのなかではさらに今後に向けた検討課題として、セ―ファースペースと「ケアの倫理」との接続可能性はどの程度あるか、哲学的対話の場がどのような性質をもった空間なのだろうか、という2点についての山本さんの構想の一端もお伺いすることができました。どちらも哲学的対話の実践にとどまらず、様々な場づくりや対話の進行に通じるような興味深いお話でした。山本さんの今後のご関心の推移もぜひ追いかけていただければと思います。
後半のみなさんとのトークでは、「セ―ファーなスペースーをつくるために参加者側からも意識できることはあるか?」「山本さんのプロフィールにある「余白を生み出す」とはどういう活動なのか?」「対話のなかで安全性を脅かすかもしれないような発言が出たときファシリテーターとして気をつけたり意識していることはあるか?」「哲学的対話のうち、「哲学的」というほうには山本さんはどういう意味を見ている?」などの話題があがり、山本さんを中心に充実したやりとりを時間めいいっぱいまで行いました。
なお、本イベントについては2027年6月5日までいつでもご覧いただけるアーカイブ配信チケットを購入いただくことで、これからでも視聴いただけます。ご関心のある方は下記リンクからチケットをお買い求めください。
https://yuruyurutalk260426archive.peatix.com
(ライター:小川)
次回のトークは6/30(火)開催。ゲストは青山学院大学教授であり、NHK Eテレ「世界の哲学者に人生相談」「ロッチと子羊」などにも出演されてきた小川仁志さんです。哲学を社会へ届けることのこれまでとこれからについて、「哲学プラクティスとメディア」をテーマに、あれこれゆるゆるとお話を伺います。
- [ 主催 ] NPO法人こども哲学・おとな哲学アーダコーダ
- [ 日時 ] 6月30日(火) 20:00~21:30 (アーカイブ配信あり)
- [ 場所 ] オンライン
- [ 対象 ] 定員50名
- [ 参加費 ] 1,500円
- [ 申込方法 ] Peatixページから
詳細・お申込はこちら
https://yuruyurutalk260630.peatix.com

