

2026年1月の「哲学プラクティスあれこれゆるゆるトーク」では、豊田光世さんをお迎えし、「合意形成とp4c(子どもの哲学)」をテーマにお話をうかがいました。
環境倫理への関心からアメリカへ留学する中で、p4c Hawai‘iと出会った豊田さん。p4c Hawai‘iは、ハワイ大学のDr.Jによって始められた取り組みです。Dr.Jは、p4cと出会い、アメリカの哲学者 マシュー・リップマンのもとで学んだ後、ハワイの学校現場で実践を重ねるなかで、p4c Hawai‘iのスタイルを築いていきました。
p4c Hawai‘iで大切にされていることの一つが、「セーフティ(知的安全性)」です。「何かを言っても笑われない」という安心感や、自由に話せる雰囲気がなければ、「ダイアローグ(対話)」は成立しないと言います。また、対話においては、相手を評価・否定する前に理解しようとする姿勢や、自分の考えが変わることを受け入れる姿勢も欠かせません。それは子どもだけでなく、子どもたちと一緒にp4cを行う大人にも求められるものです。
その意味で、学校教育においても、p4cを単なる授業手法として扱うのではなく、学校文化そのものと結びつけることが重要だと語られました。
話題は、現在取り組まれている佐渡島での活動にも及びました。豊田さんは、地域住民・農家・漁師・行政など、多様な立場の人々と対話の場をつくり、地域づくりや環境保全における合意形成に取り組んでいます。
これまでさまざまな場所で活動してきた豊田さんによると、地域での対話は、最初から前向きな意見が出るわけではなく、「対話なんて意味がない」「意見なんてない」という状態から始まることも少なくないそうです。しかし、少しずつ安心して話せる場を積み重ねることで、人々が語り始め、地域の文化そのものが変わっていくことがあると言います。
また、豊田さんは「合意形成」を、単なる妥協や説得ではなく、「多様な声をもとに、新しい価値や解決策を共に創造すること」だと捉えています。それぞれの声をもとに小さな変化が生まれていく。その実感が大切なのだそうです。
p4cと合意形成の違いとしては、p4cでは必ずしも結論を出す必要はない一方で、合意形成では最終的に何らかの意思決定や行動につなげていく必要がある点が挙げられました。
もちろん、違いだけではなく共通している点もあります。例えば、「答えのない問いを扱うこと」「多様な視点を大切にすること」「考えが変化することを重視すること」「セーフティを大切にすること」などが、共通点として挙げられました。
どちらかではなく、両方を大切にしながら活動を続ける豊田さん。これからの実践にも、ますます目が離せません。
(ライター:井尻)
次回のトークは6/30(火)開催。ゲストは青山学院大学教授であり、NHK Eテレ「世界の哲学者に人生相談」「ロッチと子羊」などにも出演されてきた小川仁志さんです。哲学を社会へ届けることのこれまでとこれからについて、「哲学プラクティスとメディア」をテーマに、あれこれゆるゆるとお話を伺います。
- [ 主催 ] NPO法人こども哲学・おとな哲学アーダコーダ
- [ 日時 ] 6月30日(火) 20:00~21:30 (アーカイブ配信あり)
- [ 場所 ] オンライン
- [ 対象 ] 定員50名
- [ 参加費 ] 1,500円
- [ 申込方法 ] Peatixページから
詳細・お申込はこちら
https://yuruyurutalk260630.peatix.com

