旭硝子第2回ビジネス哲学対話アドバンス研修

「AGC旭硝子 中央研究所」にて、社員・経営者を対象とした、哲学対話の研修を行いました。
イベントの概要

● 内容:
NPO法人アーダコーダでは2016年より、哲学対話をビジネスシーンで活用していただくための企業研修プログラムを開始しました。今回、研修をご依頼いただいた企業は、AGC旭硝子(エージーシーあさひガラス)。東証一部上場、世界最大手のガラスメーカーです。
http://www.agc.com/
https://www.facebook.com/agc.jpn/

2017年、旭硝子の中央研究所(横浜市)では「チャレンジ活動」を推進しているそう。社員がより自分の頭で考え、行動できるよう、また技術の話だけでなく「思い」の話もできるようになりたいと、哲学対話を導入いただきました。今回は2回に分けての研修。それぞれレポートします。

● 日時:2017年1月17日(月)、3月3日(金)

● 時間:2時間30分 × 2回

● 対象:研究所の社員・経営者

● 研修運営:NPO法人 こども哲学・おとな哲学 アーダコーダ

ファシリテーター

 川辺 洋平

 守山 菜穂子

レポート

● 1月17日(月) 1回目の研修

まずは2時間30分のメニューで、哲学対話の目的や、質問方法などのテクニックを習得。その後、「チャレンジとは」というテーマで、1時間の哲学対話を行いました。

受講者の感想では「最後に、自分の回答を見て、自分の考えていたことが分かった気がした」「<発言しない自由>が新鮮だった」などの感想をいただきました。

 

● 3月3日(金) 2回目の研修

この日は、社長や、研究所長も交え、哲学対話イベントとして開催。室内の飾りつけなども行い、いつもとは違う雰囲気に、参加者もワクワクしている様子です。対話をするのは10名。その周囲には、研究所内からたくさんの見学者が集まりました。

まずはアイスブレイクとして、質問の仕方を学ぶ「質問ゲーム」を体験。「意見を変えるって難しい!」「絶対そうなんです、とつい言い張ってしまう」「質問されるのって嬉しいね」などの感想が口々に出てきました。

その後、1時間の哲学対話。テーマは「企業におけるチャレンジとは何か」。

チャレンジすることは、やはり人に認めてもらいたいもの。いや、別に認められなくていい人は、目立たないようにチャレンジすれば良いのでは。「新しいことを始める」だけでなく、「何かをやめる」こともチャレンジ……こんな風に、各自が考える「チャレンジ」の姿が浮かび上がってきます。

対話が深くなるにつれて、驚きの発言も噴出。「定例の会議」って本当に必要なの? いっぺん全部やめてみたらどうなるんだろう?本音を話す雰囲気、自分が正直になれるような環境が、もっとあってもいいんじゃないか。「話しやすい職場の雰囲気を作る」活動も、チャレンジなんじゃないか。新しい気づきが次々と生まれました。

最後に、「メタ対話」で自分たちの対話を振り返り。意見に対して「対案」、違う意見を持ってくる癖があるとか、日頃は議論ができていない、反対意見を持っていたとしても「イエス」、「ノー」をはっきり言えない、などの気づきが寄せられました。

「今日はいつもより深い対話ができた、本音で議論をすることを職場に帰ってもやってみたい」という主催者の挨拶で、2回にわたる哲学対話研修が終了しました。

哲学対話は海外で100年以上の歴史があり、「企業の中で哲学的な話をしよう」という取り組みは、特に新しいものではありません。ただ近年、企業活動が多様化する中で、「今日・明日の仕事の話をするのも良いけれど、もっと未来の話をする場を作りたい」、「今、稼がなきゃということに集中しがちなので、もっと大きな話をしよう」という風潮が生まれ、「哲学対話」を企業で取り入れたいというリクエストを多数頂くようになりました。

「doing philosophy(ドゥーイング・フィロソフィー)」。自分が哲学をすること。日々の暮らしや、今日の業務の中で「そもそも、これってこうなんじゃないかな」と、思っていることをポロッと言ってみる。そして、みんながどう思っているのか、一緒に考える。アーダコーダでは、ビジネスシーンで「考える力」をつけるための企業研修に、これからも積極的に取り組んで参ります。

写真/守山菜穂子(1/17分)、鈴木智哉(3/3分)

この記事を書いた人

アーダコーダ事務局